バイアスとは?その種類を一覧で分かりやすく説明

バイアスとは?その種類を一覧で分かりやすく説明

バイアスとは物事を歪めて認識してしまう偏りのことです。
日本語では「傾向、先入観、偏見」などと訳されます。

バイアスは生まれ持った脳機能や価値観、体験、事前に提示された情報などにより起こります。

心理学では「認知バイアス」と呼びます。
日常生活やビジネスの場で様々な種類のものが発生することが分かっています。

人間である以上、バイアスがかかってしまうのは当然のことです。
しかしそれを意識していないと騙されたり判断を誤ることになります。

心理学のバイアスの種類を一覧で分かりやすく説明します。

現状維持バイアス

変化することを避け、現状のままでいようとするバイアスです。

変わることで得られる利益よりも、損失のほうを大きく評価してしまうのです。

給料が上がるとしても転職に踏み出せなかったり、他に気になる人がいても今の恋人を別れられないのはこのような現状維持バイアスがかかっているからです。
安くなると分かっていても携帯や電気代のプランを変更しないのも同じことです。

基本的に人間は変化を好まないようになっているのです。
これは本能が自己実現や承認といったものよりも生命維持や安全確保といった欲求のほうを重要視するように出来ているからです。

またそのほうが無駄なエネルギーを消費しなくても良いという原始的な思考の名残ともいえます。

確証バイアス

自分の考えと一致する情報ばかりに注目してしまうことです。

例えば学歴コンプレックスを抱えた人がよく「東大卒は仕事ができない」などと言ったりします。
そのときに彼らは東大卒の人が失敗した事例にばかり注目します。

成功している人のほうが圧倒的に多いにも関わらずそういった情報には注目しないのです。
そして自分の考えは正しかったと勘違いしてしまうのです。

確証バイアスは対人関係でも頻繁に起こります。
何らかのきっかけで相手のことを嫌いと思うと欠点ばかりが目につくようになるのです。
そしてやっぱり嫌な奴だという思いを強めてしまうのです。

これらのバイアスが強くかかりすぎてしまうと仕事や人間関係で誤った判断を下してしまうことがあります。

後知恵バイアス

結果が出た後で「最初からこうなると分かっていた」と言う傾向です。

スポーツの試合などで番狂わせが起こると後からもっともらしい理由を述べるのは後知恵バイアスの典型です。

このバイアスの面白いところは事前に自分が予想していたことを忘れたり改変したりすることです。

アメリカの大統領選挙でトランプ氏が当選したときも「泡沫候補に過ぎない」と言っていた評論家が後から「自分はそう思っていた」と言ったりする現象が見られました。
彼らの中には本気で自分がそう予想していたと記憶が変化してしまている人もいるのです。

自分の予測の能力が低いと認めてしまうとこれから先のことが考えられなくなりますし、行動することにも怯えてしまうのでこれらのバイアスが発生するのは仕方のないことです。

しかし結果が出た後で「私は最初から分かっていた」というと周囲からの信用を失うので気をつけなければなりません。

正常性バイアス

緊急事態が発生したときにも「まだ正常な状態の範囲内」と軽く考えてしまうことです。

台風が近づいて避難勧告が出されても自宅に留まったりするのもこの正常性バイアスが働くからです。

これらのバイアスによって命を落としてしまった人は少なくありません。

2011年の東日本大震災では警報発令後も避難しなかった人が多数いたことがその後のデータ解析で判明しています。
2014年の御嶽山の噴火では死亡した人の中に噴火後も火口近くで写真撮影をしていた人がいたことがデジカメのデータから分かっています。

また警報が発令されてもそれが空振りに終わることが続くと本当に災害が発生しても多くの人が「今回も大丈夫だろう」と考えてしまうことがあります。
これを心理学では「オオカミ少年効果」と呼びますが、これが繰り返されることにより正常性バイアスはより掛かりやすくなります。

特に日本人は周囲の行動を確認してから自分の行動を決める人が多いので注意が必要です。
緊急時の判断において大衆は往々にして間違いを犯すということを忘れないでください。

周りが逃げていないから安全ということはないのです。

不作為バイアス

何かをして失敗したり責任を負うくらいなら何もしないほうがマシと判断をする傾向のことです。

上司が机の上に出すべき郵便物を忘れて帰宅してしまったとします。
その日のうちに投函しなければいけないものかもしれません。

しかし敢えて出さずに置いているという可能性もあります。
その場合に勝手に投函してしまうと怒られるかもしれません。

こういったシチュエーションにおいては何もしないという選択をしがちです。
そのほうがリスクが低いからです。

不作為バイアスは行動したほうが利益が得られる場合にも発生します。

例えば致死率100%といわれる病気を治す薬が開発されたとします。
しかし50%の人がその薬の副作用で死ぬという場合に躊躇なくその薬を認証できる人は少ないです。

誰もが行動を起こすことによって自分にも責任が生じる、もしくはそう感じてしまうという状況を避けたいと思っているのです。

「触らぬ神に祟りなし」という諺もこれに近い考え方を表しているといえます。

ネガティビティ・バイアス

良いところよりも悪いところが気になってしまう現象のことです。

顔も性格もタイプのど真ん中の素敵な異性と知り合ったとします。
しかし箸の持ち方が汚いとそこばかりが気になってしまうというのがネガティビティ・バイアスです。

これは記憶についても同様のことが言えます。
ポジティブな情報よりもネガティブな情報のほうがいつまでも覚えているものなのです。

なぜこのようなことが起こるかというとネガティブな情報というのは生存の危機を脅かす可能性があるからです。

私たちの先祖が獲物を追いかけて生活していた時代には外敵に襲われたらその場所をきちんと覚えておかなければ命を落としてしまうこともありました。

そのため悪いところに注目しそれをいつまでも覚えておくように進化したのです。

しかし現代人の私たちがネガティビティ・バイアスを強く持ちすぎると何も判断することが出来なくなってしまいます。
自分なりの判断基準を持つことが大切なのです。

インパクト・バイアス

将来の感情についてプラスにもマイナスにも過剰に想像してしまうバイアスです。

年収が1,000万円になったら幸せだろうな?好きな人と付き合えたら毎日ドキドキだろうな?と未来のことを想像するのは楽しいものです。
しかし実際にその願望が叶うと想像していたほどには感動しませんし、仮に大きな感動があったとしてもそれは長続きしません。

また離婚したら落ち込んで立ち直れないだろう、リストラされたら絶望してしまうだろうとネガティブな想像についても同様のことがいえます。
実際にそれが起こったとしてもそれほどのダメージは受けないのです。そして思っているよりも早く心の状態は回復します。

ノースウェスタン大学の研究によると、下半身不随になった人と宝クジに当たった人の幸福度は1年もしないうちに同じレベルに落ち着くということも分かっています。

現在志向バイアス

「未来に手に入る利益」よりも「今手に入る利益」に価値を見出すことです。

あなたは今すぐ貰える10万円と1年後に貰える11万円ならどちらを選ぶでしょうか?

多くの人は今すぐに貰える10万円を選ぶと思います。

しかしこれは経済学的には損な選択です。
あなたが年率10%以上の利益を確実に挙げられる投資家でもない限りは1年後の11万円のほうが価値があるからです。
10万円を貯金や国債の購入に回しても1年後に11万円にはなりません。

もちろん約束が反故にされたり今すぐにお金が必要な境遇にいるなど様々な要因がありますから単純比較はできません。

しかし多くの人は今すぐに手に入るものを過剰に評価してしまいがちなのです。

このような現在志向バイアスは子供のうちから発生します。

目の前に差し出されたマシュマロを我慢できたらもう1つあげると言われても我慢できる子は少ないのです。
これが心理学で有名な「マシュマロ実験」と言われるものです。

ちなみにその後の追跡調査ではこの実験で我慢できた子供は将来成功している確率が高かったということも分かっています。

目先の利益を取ることをが本当に得なのか?ということを冷静に判断することが成功の鍵なのかもしれません。

楽観性バイアス

簡単にいうと「自分だけは大丈夫」という楽観的な考え方です。

日本国内では災害が多く発生していますがそのための備えをしている人は少ないです。
自分の住んでいる地域だけは大規模な災害は起こらないというバイアスを多くの人が持っているからです。

このように私たちは同じ属性を持つ人と比べたときに自分はリスクの少ない側にいると錯覚してしまうことがあります。
それがやがては命の危機につながることさえあります。

他にも自分は事故など起こさないからと飲酒運転をしたり、病気になんかなるわけないと年齢を重ねても不健康な生活習慣を続けることなどが楽観性バイアスの例として挙げられます。

権威バイアス

大学教授や専門家と言われる人の意見は疑わずに受け入れやすくなるというバイアスです。

特に日本人は自分の判断に自信がないうえに物事を批判的に見るという訓練をしていませんからこの権威バイアスが強く出ます。

例えば健康食品などの宣伝に博士や教授の説明文が記載されているとそれだけで効果のあるものと信じてしまいます。
テレビで「ガン予防に効果的」と言われれば翌日にはスーパーの棚からその商品がなくなります。

マーケティングの専門家からすると日本ほど流行をつくりやすい国はないのです。

医学博士は医者でなくとも取れますし、論文の発表などは誰でも出来るということは覚えておいたほうが良いかもしれません。
健康食品の宣伝に書いてある「論文が学術誌に掲載されました」というのはお金を払えば誰でも掲載してもらえるハゲタカジャーナルと言われているものなのです。

希少性バイアス

数の少ないものに価値を見出してしまうことです。

希少性バイアスはあらゆる経済活動で利用されています。

例えばテレビショッピングなどで「今から30分以内」とか「○○個限定」などと喧伝することがあります。
それによって消費者に焦りを生み出し買わせてしまうことがあります。

冷静に考えればその数量しか販売しないのだとしたらテレビで放送してもらう料金の元は取れないと分かりますが騙されてしまうのです。

また想像以上に売れ過ぎて生産が追いつかないと宣伝する品薄商法などもあります。

私たちが数の少ないものに価値を見出すのはその理由づけを間違っているからです。
その商品の品質そのものではなく、数が少ないという状況を重視してしまうのです。
そして「数が少ないのは良いものだからだ」と逆に考えてしまうのです。

数量限定、期間限定などと言われると欲しくなってしまいますが冷静に判断しましょう。
その数を決めているのは売主なのです。

本当に良い商品なら限定せずにみんなに売ってあげたいと思うはずです。

内集団バイアス・内集団びいき

自分と同じ集団に属する人間は高い能力や望ましい特性を持っていると評価しがちになるバイアスです。

企業によって学閥や就職しやすい大学などが存在するのもこの内集団バイアスの影響とされています。
役員や人事担当者の母校出身というだけで他の学校の人よりも高く評価されがちなのです。

社会的アイデンティティの問題としても考えることができます。
自分と同じ集団に属する人間の評価を高めることが間接的には自分の地位を高めることにもつながるのです。

「日本すごい系番組」と揶揄される外国人に日本の凄いところを喋らせる番組が流行るのもこういった欲求が刺激されるからです。

人間には自尊心を高揚したいという心の機能が存在しているのです。

一貫性バイアス

他人の性格は何年経っても変化しないという思い込みです。

実際に人の性格というのは本質的な部分においては意図的に心のトレーニングをするかトラウマ的な出来事に遭遇しない限りは変わりません。
なのでこの一貫性バイアスが完全に間違っているというわけではありません。

しかし何年も会っていない同級生がいつまでも当時のままという思い込みは危険です。

学生時代に誠実だった人間がカルト宗教やネットワークビジネスに洗脳されていることもあるのです。
久しぶりに連絡が来て当時のままだろうと思って話を聞いてしまうと詐欺の被害に遭う可能性もあります。

行為者-観察者バイアス

行為者として自分の行動を評価するときには環境の要因なども考えるのに、観察者として他人の行動を評価するときにはその人の能力や性格の問題しか考えないことです。

私たちは仕事でミスをしたときなどに「最近ちょっと気が緩んでいたからかな?」と考えると同時に「会社から割り当てられる仕事の量が増えているのだから仕方ない」という気持ちも沸いてくることがあります。
自分の性格的な部分だけではなく環境にも原因を求めようとするのです。

しかし同僚が同じようなミスをしたときにはこのようには考えません。
「あの人はそそっかしい性格だから」とか「実力もやる気もない」などとその人の能力や性格に原因があると考えます。
何らかの外部要因があるのではないかという思いには至らないのです。

私たちは自分が思っている以上に自己中心的な思考を持っています。

最後に

以上が私たちの日常で頻繁に発生するバイアスの一覧です。

あらゆる場所で悪用されています。

重要な判断をするときは思考に偏りが発生していないか冷静に考えましょう。

心理学カテゴリの最新記事