マクベス効果:手や体を洗ったら罪の意識を軽減できるのか?

マクベス効果:手や体を洗ったら罪の意識を軽減できるのか?

マクベス効果とは人間が道徳的に良くないことをしたときや犯罪を犯したときにそれを物理的に洗い流そうとする心理のことです。
つまり手を洗ったり体を洗ったりすることによって罪の意識を軽くしようとする心理です。

名前の由来はシェイクスピアの戯曲「マクベス」です。
主君であるダンカン王を殺害した後に手を洗う仕草を繰り返したマクベス夫人から来ています。

石鹸で罪悪感も洗い流そう

マクベス効果はトロント大学の研究者が2006年に行った実験によって広く知られるようになりました。

実験の参加者はまず過去に自分が行った道徳的な行為か反道徳的な行為を話すよう求められました。
その後で一部が抜けた単語を見せられました。例えば「W__H」「S__P」のようなものです。

そしてその抜けた部分に何らかの文字を付け足し意味の通る単語にするように言われました。
すると事前に反道徳的な行為について話した参加者のほうが「WASH(洗う)」「SOAP(石鹸)」などの洗浄に関連する単語をつくる確率が60%ほど高かったということです。
また抗菌ティッシュを使うと答えた人の数も多かったのです。

これによって人は物理的な行為によって罪悪感を洗い流そうとする心理を持っているということが分かりました。

別の実験では口頭で嘘をついた人は口内洗浄製品を好み、書面で嘘をついた人は他の種類の洗浄アイテムよりも手洗い用の製品を好んだという結果もあります。

追試実験で否定される

しかし2014年にオックスフォード大学の研究者が行った追試ではマクベス効果を再現することは出来ませんでした。

先の実験よりも多くの参加者を集めて同じ内容のものを試しましたが差が出なかったのです。

このオックスフォードの実験はマクベス効果は否定されているという話題のときに頻繁に出てくるものですが実はその後もいくつかの実験が行われています。

例えばニューヨーク州精神医学研究所のエイラル・カラントロフらの実験では肯定的な結果が出ています。

この実験では不道徳な行いを紙に書いた後に手を拭くことが許されるグループと許されないグループに分けられました。
その後にタスクを行ったところ手を拭くことが許されなかったグループのパフォーマンスは悪かったのです。

しかしその後に別の研究機関によって行われたメタアナリシス(複数の研究の結果を統合した分析)ではマクベス効果は再現できないという結果になっています。

宗教などによっては身体を洗い流すことが穢れも洗い流すという考え方をするものもあります。
マクベス効果があるかないかはその人のバックボーンの影響も受けるのではないでしょうか?

参考文献:Eyal Kalanthroff,(2016) Washing away your sins will set your mind free: physical cleansing modulates the effect of threatened morality on executive control
Brian D. Earp, et al,(2014)Out, Damned Spot: Can the “Macbeth Effect” Be Replicated?
Chen-Bo Zhong, Katie Liljenquist,(2006)Washing Away Your Sins:Threatened Morality and Physical Cleansing