「美人は男らしい顔の人が好き」と言われる理由とそれを否定する研究結果

「美人は男らしい顔の人が好き」と言われる理由とそれを否定する研究結果

「美女と野獣」という言葉があります。
この場合、男性がブサイクであることを揶揄することが多いです。
このようなシチュエーションを見ると周囲の人は「美人はすでに外見上の魅力を持っているからパートナーには求めない」と言ったりします。

これと同じような話に「美人は男らしい顔の人が好き」というものがあります。
この場合の男性はブサイクではありません。パーツのはっきりした力強さを感じさせる顔立ちという意味です。
美人がこのような男性を選ぶには進化心理学上の理由があるとされています。

実際の実験でもそのような結果が出ることがあります。
しかし新たに行われたより大規模な実験では美人かどうかに関係なく、女性は男っぽい顔の人が好きという結果が出ました。

なぜ美人は男らしい顔が好きなのか?

そもそもなぜ美人は男らしい顔が好きなのでしょうか?
その理由はいくつか挙げられます。

類似性の法則が働いてハイレベル同士で結びつくからとか、狙われやすいので守ってくれそうな人を選ぶからなどは聞いたことのある人もいるのではないでしょうか?

進化心理学の観点からは次のような考え方ができます。

男らしい顔というのは身体的な強さや優秀な子孫を残せる能力を持っているというシグナルです。
なので女性はみな男らしい顔の人をパートナーに選び交尾したいと思うのです。

しかしここで一つ問題が発生します。
この男らしい顔の人というのは上記のようなメリットがある反面リスクもあります。
それは他の女性も手に入れることができるため自分を見捨てる可能性があるということです。
(進化心理学では人間は一夫多妻のほうが自然な形態という前提で考えることが多いです)

女性は男性の優秀さと自分を見捨てない確率のバランスを考えて選択します。
これが女性の異性選択におけるトレードオフセオリーです。

非常に優秀だけれど自分を見捨てるかもしれない男は選ばないということです。
反対にそこそこの能力でも自分を一生愛してくれそうなら選ぶのです。

この選択において重要な要素となるのが女性自身の肉体的魅力です。
美人であれば愛し続けてもらえる可能性が高いですし、仮に捨てられたとしてもすぐに新しいパートナーを得ることができます。

自分を見捨てるかもしれないというリスクを低く見積もることができるため、男性の魅力のみを選択の条件とすることができます。

このような理由から美人は男らしい顔の人が好きという理論が導き出されます。

過去の実験でも自分のことを美人だと考えている人は男らしい顔を好む傾向にあるという結果が出ているものもあります。
しかし反対の結果が出ているものもあります。

美人かどうかは関係ない

過去の研究ではサンプル数も少なく、美人かどうかが自己申告だったということもあり結果がまちまちになっていました。

そこでグラスゴー大学のシアラン・ドカティらの研究グループはより大勢の被験者を集めて実験を行いました。

参加したのは454人の女性です。(平均年齢は約21歳)

この女性たちをスッピンにして写真撮影をします。そして髪型と洋服が見えないように加工します。

それを別の男女それぞれ16人ずつに7段階で評価してもらい美人かどうかの判定を行いました。
つまり生まれ持った顔の美しさを客観的に判定したということです。男女による評価に差はありませんでした。

参加者である454人の女性に見せられた写真は複数の白人男性の顔データを統合してコンピューターによって作成されたものです。
平均となる顔をつくりそこからさらに加工を加え「男らしくした顔」と「女らしくした顔」の2種類をつくります。
つまり元となる顔は同じものということです。

このようにして作られた10セットの写真を女性に見せてどちらが好きか評価させます。
そのとき「短期的なパートナーにするなら?」「長期的なパートナーにするなら?」と2つのシチュエーションが用意されました。

その結果、男らしくした顔のほうが好きという答えのほうが多かったのです。
短期的なパートナーとしてみた場合のほうがよりその傾向は高かったです。

しかし美人と評価された女性のほうがよりその傾向が高かったという結果は得られませんでした。
つまり美人かどうかに関係なく男らしい顔のほうが好まれるということです。

日本でも同じことが言えるのか?

この実験結果を見て「自分は女っぽい顔だから美人とは付き合えないのか」と心配する必要はありません。

統計を取るとこのような結果になったということであって、美人が全員男っぽい顔が好きなわけではありません。好みは個人によって違います。

また顔の好みは所属する社会の影響を大きく受けると考えられます。

最近の芸能人を見ていれば分かりますが男らしい顔よりも中性的な顔のほうが人気です。
昔の映画俳優は男らしい顔のほうが人気でしたから時代によっても変化するのです。

日本国内で同じ実験を行ったら逆の結果が出るかもしれません。

参考文献:Ciaran Docherty,et al.(2019)No compelling evidence that women with more attractive faces show stronger preferences for masculine men.

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