触れるだけで病気が治るメスメリズム(磁気療法)の正体

触れるだけで病気が治るメスメリズム(磁気療法)の正体

18世紀のオーストリア・ウィーンにフランツ・アントン・メスメルという医師がいました。
彼は患者の体に触れただけで病気を治療することができました。

動物磁気

メスメルは人間の体内には動物磁気というものが存在し、そのバランスが崩れることでヒステリー(神経症)などになると考えていました。

なので動物磁気を患者の体に流してバランスを整えることで病気が治ると考えていたのです。

そしてその動物磁気が自分の体の中に蓄えられているので自分が触れば治癒するという理論です。

(※現在うつ病などの治療に用いられることのあるTMS治療(反復経頭蓋磁気刺激法)とは異なるものですから勘違いしないでください)

メスメリズム

体に触れただけで病気が治るなどというのは現代の私たちからすると間違った理論だということは分かります。
動物磁気などというものも存在しません。

しかし面白いことにメスメルが触れただけで本当に治癒した人がいたのです。
それも一人や二人ではなく何人もです。
メスメルに触れられただけで痙攣を起こしたり、失神する人もいました。

この治療法は彼の名前から「メスメリズム」と呼ばれるようになります。
そしてメスメリズムの治療効果がヨーロッパ中で話題になり患者がたくさんやってきます。

鉄の棒を通しても治療効果があった

一人で対応しきれなくなったメスメルは治療用の道具を開発します。
バケツの中に水を入れそこに数本の鉄の棒を差します。
それを複数の患者が同時に握るのです。

メスメルが患者の誰かに触れることで鉄の棒を伝わって他の患者にも動物磁気が流れるという理論です。
この方法でも病気が治る人がいました。

メスメリズムは催眠療法だった

当時のフランス国王は調査委員会を設置して調査をさせましたがメスメリズムにエビデンス(科学的根拠)は存在しないという結論を出しています。

では間違った理論にも関わらずメスメリズムは病気を治すことができたのはなぜでしょうか?

それは患者が一種の催眠状態になっていたからです。

メスメルの元を訪れる患者は完全に動物磁気の力を信じていました。
そして触れるだけで病気が治るということを疑うこともありませんでした。

そのため本来の治癒力が一気に高まり、病気が治ったと考えられます。
小麦粉を固めただけのものでも薬だと思って飲めば治療効果が得られるプラセボ効果と同じようなものです。

思い込みの力を利用して治癒力を高めたり、潜在能力を引き出すことは可能です。
つまり患者にもともと備わっていた力を引き出したということです。

ちなみにメスメル自身も詐欺師などではなく本当に動物磁気の存在を信じていました。
科学的に証明することはできませんでしたがメスメリズムは催眠術のルーツとも言われています。