ファントムバイブレーションシンドローム(幻想振動症候群)とは

ファントムバイブレーションシンドローム(幻想振動症候群)とは

携帯が鳴っていないのに鳴ったような気がすることはないでしょうか?
実はこの体験は9割前後の人がしており、人々が通信端末を気軽に持ち始めるようになった1990年代から報告されている現象です。

ファントムバイブレーションシンドロームとは?

着信がないのに携帯電話が振動したような気がする現象のことを「ファントムバイブレーションシンドローム」と言います。
日本語では幻想振動症候群と言います。

症候群とついてはいますが「精神疾患の分類と診断の手引(DSM5)」に掲載されている病気ではありません。

カリフォルニア州立大学のラリー・D・ローゼン博士によるとファントムバイブレーションシンドロームは筋肉の収縮や衣服の擦れを脳が携帯の振動と勘違いするため起こるそうです。

インディアナ大学教授であるミシェル・ドルアン博士の調査によると大学生の89%は平均して2週間に1回ファントムバイブレーションシンドロームを経験していました。
特にテキストメッセージに対してより感情的に反応し、スマホ依存の傾向が強い人はより頻度が高いことが分かりました。

また着信音が鳴った気がしたけど実際は鳴っていない現象は「ファントムリングシンドローム」といいます。
シャワーを浴びているときやテレビを見ているときなどによく起こります。

人間の耳は1,000から6,000ヘルツの聴覚音に特に敏感であり、携帯電話の着信音はこの範囲内に収まることが多いため似た周波数の音を聞き間違えるのです。

これらの現象の一部についてはパレイドリアとの関連も指摘されています。
パレイドリアとは曲の歌詞が他の言葉に聞こえたり、崖の岩肌が人の顔に見えたりする現象のことです。

ファントムバイブレーションシンドロームの原因

ファントムバイブレーションシンドロームが脳内のどのような仕組みによって起こるのかという詳細な原因は不明です。

しかし電話やメッセージ、SNSへの反応を見逃すことを過度に恐れている人ほど発生する頻度が高いことは分かっています。
つまりスマホの反応を常に気にしているために刺激に敏感になっているのです。

ファントムバイブレーションシンドロームが起こり始めるのは携帯電話を持ち始めてから1ヶ月から1年ほど経過してからというケースが多いです。

ジョージア工科大学のロバート・ローゼンバーガー博士によると携帯電話を常に体に接触させて所持することにより体の一部のような感覚になるということです。
メガネを掛けている人が掛けていることさえ忘れてしまうのと同じような状況です。

このような状況になると振動を着信のシグナルとして体が覚えるため、他のズボンが擦れるといった他の刺激も着信と認知してしまうということです。

心の問題に取り組むことが大切

ファントムバイブレーションシンドロームは携帯電話をポケット以外の場所に離して所持したりバイブレーション機能をオフいすることで感じないようにできることがあります。

また前出のラリー・D・ローゼン博士は著書の中で以下の対処法を推奨しています。

  • 自然の中を散歩する
  • 瞑想をする
  • 音楽を聴く、歌う
  • 外国語を勉強する
  • 面白い本を読む
  • 誰かと電話で話す

90分から2時間毎に電子端末から10分間離れた場所で活動をすれば不安レベルは低下することが分かっています。

とはいえファントムバイブレーションシンドロームに対処するというよりかはそれを引き起こす心の問題に取り組んだほうが良いかもしれません。

参考文献:
Robert Rosenberger,(2015)An experiential account of phantom vibration syndrome
Michelle Drouin,(2012)Phantom vibrations among undergraduates: Prevalence and associated psychological characteristics
Larry D. Rosen,(2012)iDisorder: Understanding Our Obsession with Technology and Overcoming Its Hold on Us

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