東大王というクイズ番組があります。
この番組に出演している東大生たちの知識の量には毎回驚かされます。
自分の所属する学部とは全く関係ない領域についても造詣があります。
彼らは学ぶことそのものを楽しんでいるように見えます。
「努力は夢中に勝てない」と言われることがありますがそれを地で行っているような学生たちです。
自分の子供もあんな風に育ってくれたらと思う親も多いでしょう。
しかし残念なことに勉強が好きか嫌いかは親からの遺伝によって決まるようです。
双子が異なる教師に教わったら勉強への興味は変わるのか?
イギリス、カナダ、日本、ドイツ、アメリカ、ロシアの6カ国の双子およそ13,000人を調査した結果があります。
それぞれの国の子供に勉強がどれだけ好きかということを質問しました。
それによると学習意欲の40~50%は親からの遺伝によって決まることが分かりました。
どんな教師に教わるかといった環境要因は小さかったのです。
環境要因が大きければ同じ遺伝子を持つ双子であっても異なる結果になるはずですがそうはならなかったのです。
また国によって教育システムと文化が異なるはずですが結果はどの国でも同様のものでした。
親の子供時代を思い出してみると何か分かるのでは?
あなたの子供が「勉強が嫌い」と言ったときまず思い出して欲しいのは自分が子供時代にどうだったかということです。
40~50%を遺伝学によって説明できるということは親自身が学生時代にどう感じていたかもヒントになります。
自分と同じくらい勉強が嫌いならば自然なことかもしれません。
しかしそれ以上に嫌いと思っているのなら他の要因があることも考えられます。
勉強を楽しく感じさせるための手段は想像以上に複雑です。
残念ながらこうすれば勉強を好きになるという明確な解決策はありません。
しかし何らかのきっかけによって学びに興味を持つことはあります。
親子ともに気づいていないだけでもしかしたら学問的活動が好きな遺伝子を持っていることもあるのです。
人間が知識を得たい欲求は食欲よりも強いという人もいます。
本を与えたり、博物館や科学館に連れていくことで子供の中に眠っている勉強への興味が引き出されることがあります。
大人の職場を見せるというのも良い刺激になるかもしれません。
しかしそれ以上に重要なことは成績が悪くても怒らないということです。
叱責や懲罰は子供をますます勉強嫌いにして成績を下げることにつながります。
参考文献:Yulia Kovas, et al. (2015). Why children differ in motivation to learn: Insights from over 13,000 twins from 6 countries.