ここ数年で就業中の服装に関する規定が緩やかになっています。
ノーネクタイだけではなく私服通勤を認める会社も増えています。
特に若い世代では合理的な思考をする人が増えていますからスーツを着る意味が見出せないと不満を感じてしまいます。
スーツとネクタイの着用を義務付けている会社は時代遅れな印象を持たれ採用活動にも悪影響が出てしまうかもしれません。
しかし誰もが知る超有能なビジネスマンでもない限りはスーツを着たほうが得かもしれません。
集中力、創造力、交渉力
スーツを着ることの意味は相手にきちんとした印象を与えることだけではありません。
それを着る人の集中力や想像力にも影響を与えるのです。
コロンビア大学の研究によるとジャケットなどのフォーマルな服を着てテストを受けた人の方が創造的なタスクについて優秀な成績を収めるという結果が出ています。
学生時代に制服を着ているときのほうが勉強が捗るという経験をしたことのある人もいると思いますがこれと同じ効果です。
またカリフォルニア大学の研究ではビジネススーツを着た人とスウェットを着た人では交渉の場面においての優位性に差が出ることが分かりました。
ビジネススーツを着ている人の方が競争心に影響を与えるテストステロンのレベルも高くなります。
他の実験においてもスーツなどのきちんとした服装を着たときのほうが集中力が高まりやすいという結果があります。
優秀だと思われる服装はどんなものか?
どんな着こなしをするかが相手からの印象に影響する場合もあります。
優秀な人間だと思われたいならきちんとしたスーツよりも少し崩すかビジネスカジュアルと言われる服装のほうが良いかもしれません。
規定を少し外した着こなしをしている人が最も優秀と思われやすいのです。
例えば多くの人が地味な色のネクタイをしているときに少し派手な色にするとか、足元をスニーカーにするといったことです。
こういった服装をしている人のほうが全体をきちんとまとめている人よりも優秀な人というイメージを持たれやすいという研究があります。地位も高いと認識されます。
これは自分のファッションを貫いても立場が悪くならない程度の実力を持っている人と判断されるからかもしれません。
本人が持つイメージも重要
単にきちんとした服装をするだけでは意味がありません。
着用する人間がその服装に対してどのような印象を持っているかも大切です。
ノースウェスタン大学の研究では医者ではない人間でも白衣を着せて作業をさせると注意力が高まるということが分かっています。
これはその服装に関するイメージが働くからです。
つまりスーツに対してあなたがどんなイメージを持っているかどうかも作業効率に影響を与えるということです。
せっかくスーツを着用していても「スーツは会社の奴隷が着る服」という認識を持っていると意味はないかもしれません。
参考文献:Michael L. Slepian,et al(2015)The Cognitive Consequences of Formal Clothing
Kraus, Michael W, Mendes Wendy Berry(2014)Sartorial symbols of social class elicit class-consistent behavioral and physiological responses: A dyadic approach.